終戦記念日
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チャーリィ。

しあわせかい?

いいえ。
しあわせなのは
君といるわたしです。


君といると
色んな出会いがありますね。

見知らぬ人とも
笑顔でお話しできます。

そうすることで
相手の方のお気持ちが
ちょっぴり軽くなったり
わたしも考えさせられたり…。

6月のある休日のこと。

初夏の日差しに
散歩の途中、木陰になるベンチを選んで
チャーリィと座っていた時のこと。。。


周りには、たくさん空いているベンチがあるのに
私が腰掛けているベンチに
80歳は越えると見えるおじい様が座りました。
「いや〜今日はいい天気で。ワンちゃんの散歩かい?やれやれ…テレビ塔はこっちなんだね?」


私「そうですよ、この方向に真っ直ぐでテレビ塔ですょ」


「いや〜まちがえて南に向かってかなり歩いていて戻ってきたんだよ〜」

話しながら、ついつい爪をみてしまう。
なぜなら爪をみると生活観や
ある程度の健康状態も解りやすいから。


短かからず長からず
美しく整った爪
小綺麗なお召し
語り口調など
どこもかしこもお達者なご様子。


今日は気持ちのよい天気で…でも迷ったあげく、テレビ塔まではまだかなりありますよ。などと
他愛もない話しをしていたのに


ご老人は、なぜか戦争の話しをはじめた…。


「わしは若い頃、母と姉と妹を置いて戦争に行ったんだよ…
船に乗ってね…
アメリカさんが船めがけて何百発も撃ち込んでくるんだよ〜、
船は爆発し、みんな必死に海へ飛び込むじゃろ。
すると今度は海面めがけてありったけの弾を撃ち込んでくる。
亡くなった仲間
命からがら弾から逃れ生き延びた仲間。
本当に恐ろしい体験だったよ。それはそれは想像を絶する恐怖なんだ。

わしは生き残った。
こうして、故郷に帰ることができて
どんなに嬉しかったことか。

わしらの時、北海道からは93名召集され戦地へ向かったんだが
生きて札幌へ戻ってきたのは9名。
当時の部隊で今生きているのは、わしだけなんだ。

病気の人もいたけれど
生きて帰っても発狂して命を落とした仲間もいたんだよ。本当に地獄だった…」

私はご老人にかけることばも失った。

「それはそれは大変でしたね。せめて今お元気で今日お目にかかることが出来て私はうれしいです」と申し上げました。

すると
「膝は人工関節で難儀だけどね(笑)」
と、あどけない笑顔。


「母やきょうだい、全て女ばかりだったので留守が心配だったんだけれど、
当時飼っていた犬が、留守を守ってくれればなぁと、心のどこかでねがっていたね。
わしが6年戦争に行き、軍服のまま帰宅したその日、今でも忘れない…番犬にと思った犬がさ、いつもと違う服(軍服)をきてるわしに、誰より先に気付いて、オシッコちびりながら飛びついて出迎えてくれたのさ。
6年だよ。6年。よく覚えていてくれた…と。
留守をまもり、元気でいてくれ、主を忘れずにいてオシッコちびるほど喜んでくれた犬の姿と
抱きしめた感触を今でも忘れないよ。
犬はかしこく可愛い。感情豊かな生き物だ。
家族なんだなぁ…」と。

その話しを、うんうんとうなずきながら聞いていた私は
ふたつの事を想い浮かべていた。


幼い頃、うちにいたジャーマンシェパードのレオ。
父が入院して不在だった時、家には母と私達姉妹。幼いながらに母を守りたいと思った。
でも泥棒とか怖い…でもレオがいる。
そう思っただけでどんなに心強かったことか……。

もうひとつは、多分このご老人と共に戦地に行き、生きて戻ってくれ今でも健在な母方の祖父。

頑固一徹なじぃちゃん。
若い大切な時を、厳しい灰色の時代を生き抜いて、今も生きて居てくれるじぃちゃんに
感謝するとともに
無性にあいたくなった。


見知らぬ…
そして
きっともう二度とあうことのない
名も知らぬご老人。


ご老人に出会えたから
じぃちゃんの気持ちが
ようやく今わかった気がする。



終戦記念日。

語りつぐべき
忘れてはならないこと。

2度と悲劇を繰り返さないために。。。。。
by nailedit | 2009-08-14 21:54 | 愛犬チャーリィ | Comments(0)
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